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【D&D】壮麗なる都ウォーターディープ:2

 つまり、ここ最近、ああした「下水からの蟲やらネズミやらの噴出」が頻発してるらしい。

「というわけで、その原因究明をお願いしたいのですよ……謝礼は500gpで」

 既にさっきの騒ぎの礼金、ということで10gpずつ貰ってはいるのだけれど。

「うふふふ、ヴォーグ隊長。もうすこし出せるんでしょ?」

 猫なで声で言ってみた。

「やー、ははははもちろんだとも。では100gp上乗せでどうかな?」
「きゃっ☆さすが人の上に立つ人は決断が早いわ。もちろんそこは前金よね?」
「あ、ああ。上乗せの100gpは私の誠意だと思ってくれないか」
「もちろん!ああ、なんて公正なかたでしょう。感謝しますわヴォーグ隊長」

 しなだれかかって頬に感謝のキスを。海区あたりじゃ割りと普通の挨拶なんだけど、港区まで来るとけっこうこれを喜ぶ殿方多いのよね。

「……あー、ところで」
 へどもどしながらヴォーグ隊長。
「その、ああ。今晩食事などいかがですかな?えへん、や、依頼の件と含めて細かな打ち合わせなども必要でしょうし」

 ん、と考える顔。やは、ホントはなにも考えてないのよ?でも即答したら誘う方のドキドキも冷めちゃうじゃない?

「……あら、お仕事の話だけですの?」
「や!いや、その、まあ。積もる話もないわけではないのですよギルティ=ギルソニエル。あなたのことは以前からお見かけしておりましたもので」
「“罪深い(ギルティ)”って呼ばれるの、嫌いじゃありませんわ」

 あたしの名前の『ギルティル』は、『グリフィンの瞳』って意味のエルフ語なんだけど、むかしあるバードに『我が心を苛む罪深きひと』と口説かれて以来、あたしは自分の名前の正しい発音に頓着しなくなった。

「お食事、喜んでお付き合いいたしますわ」
「やあ、晩飯まで奢りとは豪勢な」
「ご馳走になりますぞ」
「……」

 こうなっちゃう以上、ごめんなさいを言うのも変なんだもの。ギルティと呼ばれようがぎるぎると呼ばれようが、『あたしと話していた時間は素晴しいものだった』と覚えていて欲しいから、相手の発言は全肯定、があたしの話術の基本。呼びたいように呼ばせたいし、相手のメンツも潰したくはなかったから、お誘いもわりと気軽にお応えしてるのでした。

「隊長、お仕事は何時で交代ですの?そのころまたお邪魔しますわ」
「やややや、とんでもない。日没ごろ『したたる短剣亭』でお会いしましょう。ご存知ですか?」
「ええ、よく。じゃあ、またあとで」

 再度軽い抱擁(ハグ)。立ち去る際に振り返れば、かなり上機嫌で手を振るヴォーグ隊長。ひら、と軽く挨拶を返し、あたしはジェイジェイに聞いてみた。

「ね、追加の100も入れると4で割れるよね?」
「ギル、500だって4で割れるぞ」
「え、あれ?そうだっけ」
「むむ。ではお前が500/4の答えを知っていれば隊長は無駄な出費をしなくて済んだわけか、まったく。あれでは隊長殿が不憫だな」

 ジェイジェイの生家は商人で、ジェイジェイ自身も簿記の技術を見につけている。私は肩をすくめると、露天の串焼肉を見ながら反論にもならない言い訳をしてみた。

「お金のことならジェイジェイのが詳しいと思ったんだもん」
「……やれやれ」

* * *
(続く)

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