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【D&D】05:先々代の使えない墓所(了)

* * *
 深い竪穴はジョンの《転移(テレポート)》で底までジャンプ、降りた先は直線的に3つの部屋が繋がった玄室、でした。


 扉をひとつ開ければ、一回り広い部屋には、その奥に続く扉がひとつと、天井に拳ほどの穴が4つ。

「なにもないし」


 奥の扉を開いた先に……

「普通だ」
「普通に小部屋だ」
「そして普通に黒檀の箱が」


「いや、これは怪しすぎるから」

 真の玄室と思しき部屋の真ん中に、腰の高さほどの(棺桶を置くのでしょうか)石の台。そして、その中央に、ちんまりと置かれているのが、どうやら目的の箱、のようです。


「……この状況で、どこに罠をおくかと言えば……」
「普通に考えれば、箱の上なり下なりだな」
「扉が閉まって閉じ込められる、とかね」
「檻が落ちてくるとかー」
「隠し扉から何か飛び出してくる、もありえる」


 ジョンが《隠し扉探知(ディテクト・シークレットドア)》の小杖(ワンド)を振り、周囲を見渡して、……背後、天井の4つの穴の中央に目を留めました。

「え、えー」
『うわぁ、あんなところにー』


 ……退路の天井に、隠し扉、ですか。

「……先々代のリンチ翁ってのはどんだけ性格悪かったんだ」

* * *


* * *
「そしてその隠し扉にゴーレムを潜ませておく、って!!どんだけ意地悪いんだ!!!!」


 意を決して箱を持ち上げれば、もちろん開く地獄の扉、素早く閉まる脱出通路。開いた隠し扉から落下してきたのは、大型のストーンゴーレムでした。

 さらに。


「水!そうかー、あの穴は放水口だったんだなあー」


 天井から床までのびる4本の柱のように、ざあざあと大量の水が天井の穴から噴き出してきているのです。


「水で侵入者の足を殺しつつ、防衛は呼吸の必要がないゴーレムか。うむ、リンチ翁は案外、もてなし上手の客を飽きさせない人物だったのかもしれん」
「それはそれで説得力ありますね」
「人造……」


 威圧も急所攻撃も効かない敵の登場に、バッシュはかなりげんなりしています。

「まあ、とにかく片付けちまおうぜ。首まで水に浸かるような状態、考えたくもないからな!」

* * *


* * *
「いやはや、濡れた濡れた」
「ブーツもチュニックもぐっしょり。早く着替えたいです……」


 石像の墓守も突破して、しかし、服の濡れたのは如何ともしがたく。出口に戻れば、『30分ほどで戻りますから』という言葉を受けて、ヨハンさんが馬車で待っていてくれました。


「……きゃらの!!」

 墓を出るまで蝙蝠姿だったクロエが、人型に戻るや否や、コンボイの上で飛び上がりました。

「……なんですか?」


 クロークの裾を絞るのに気を取られつつ、クロエに相槌を打ったのですが、

「そうだよ!すっかり忘れてたよ!あああ、なんてもったいないことを!!」

 てんで要領を得ません。


「なにか取り忘れたっけ?」
『たっけ?』


「違うよジョン、スー!《水泳(スイム)》!《集団水泳(マス・スイム)》だよ!!せっかく水場での戦闘だったのに、今日は準備してなかったんだ!!!あーおしい、あーもったいない!!せーっかくの白スク水披露の場がぁー!!!」


「うむ、泳ぐにはちと季節が早すぎはしないかね」
「忘れててくれてよかったなあ、と心底思いました。と今日の日記には書いておきます」
「……そうか、全員で水着か……」


 それはちょっと。ちょっと遠慮したい光景じゃありませんか、バッシュ?


* * *
「いやいや、お見事です!ありがとうございました!ささ、さっそく馬車へ。毛布も着替えも用意してございます」
「……ヨハンさん、罠のこと知ってた?」
「いえいえ、そんなことは。さて、皆さんがここまで優秀ならば、ひとつどうしてもお願いしたいことが……」


「またなんか『使えない』もの?」

「……じつは。当家のぼっちゃまのことなのですが」
「きゃらの!ついに『リンチ商会の使えない息子』編?!」


「クロエっっっ!?!!」

* * *
(先々代の使えない墓所:了)

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