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【D&D】『赤い手は滅びのしるし』25・21日昼 死霊王の獅子窟(4)

* * *
 一度はやり過ごした、霧の奥へ。

「《オブスキュアリング・ミスト》……じゃあないな。《フォッグ・クラウド》か」
「霧の奥で、罠張って待ってるよな」
「ですよね」

「……あった。突き当たりに、扉だ。開けていいか」

「ごーごー」
 応。

 すう、と息を吸ったバッシュが、一気に扉を蹴り開ければ、霧の間の向こうの部屋では、私たちの突入を今や遅しと待ち構えていたホブゴブリンたちが。

「多いな!」

 最奥に立つきつい表情の美女……と呼んで差し支えないほどの、整った顔立ちのホブゴブリン。守りはミスラルの胸当て、右手にしたのは良く鞣された黒いムチ。扉の周囲には、胴衣のホブゴブリンたちが、無手で構えまたは竜の頭の分銅がついた鎖を振り回しながら、じりじりと爪先立ちで間合いを測っています。全員、衣服や胴衣の左胸には赤い手の聖印が縫い付けられており、眼は怒りに燃え、ギラギラとした殺気を隠そうともしません。

「きゃらの!ムチにビキニアーマー?!アルウェンアルウェン、本物のビッチだよ!」
「や、あれはブレストプレートで別にビキニではー」
「あれはぶっ殺してビキニはアルウェンにあげる!」
「いりません!!」

『かかれ!!』

 ムチが振り上げられ、ぴしりと振り下ろされると共に女が叫びました。号令一下、一気に駆け寄る胴衣のホブゴブリンたち。

「……モンクか!」

『如何にも!我ら“滅びの拳”の修道僧也!!死ね、竜魔王に刃向かう愚か者共!』

 が、しかし。

「うむ、遅い」
「そしておまえら遠いっ!!きゃらのっ」

 室内を掌握しているのは、彼らではなくコンボイなのでした。その長い間合いの牽制を支援に受けて、一刀の下に正面の“滅びの拳”たちを切り伏せるサンダース、そしてバッシュ。

『調子にお乗りでないよ!!雷々々!』

 甲高く、暴風とも嵐ともつかない叫びを挙げる女ホブゴブリン。その叫びには、奇妙な旋律と節回しとが……まるで遠鳴りする雷のよう。その手に振るうムチがひょうひょうと唸り、風の啼き声になって嵐の女帝の叫びにひと際恐ろしさを加えます。

『来!雷!殺せ、雷霆よ!!』

 ムチの先端が床で強く叩き鳴らされるのを合図に、女の正面から雷撃が迸りました!!青い電光は、強く輝いてコンボイとクロエを薙ぎます!!

「げげぇ、《嵐の呪い歌》!このビッチ、バードだ!!」
「赤い手の軍団は随分人材豊富だな!!」

『どうだ!!』

「……きゃらのっ」
 応?

 稲光が消えれば、そこには、小揺るぎもせず……可愛らしく小首をかしげるクロエとコンボイ。クロエにいたっては、舌をちろりと出して、人差し指で頬をかるく押さえています。

 つまり、全くの無傷。

『な、な、なにぃ?!?!』

「ビーヒアは雷吐かなかったけどー、これで《マス・レジスト・エナジー・サンダー》がムダにならなかったきゃらのー」
「効果時間内ですねー」 

 女の動作と歌の前振りで、雷が来ると気づいた瞬間、私たちの間に流れた奇妙な空気。それは、多分攻め手を欠くであろうこの女ボスに対するささやかな同情の雰囲気だったのでした。

「……諦めろ。お前に勝ち目はない」

『くっ』

 このとき、女の手が、くるっと呪印を組んだ、のだそうですが、一瞬のことで、私は気がつきませんでした。

『……おにいちゃん!!生き別れのおにいちゃん!!妹の私を殺さないで!!今日のところは見逃して!!!』

 突然、しなを作りサンダースに駆け寄る女ホブゴブリン。ああ、妹だったんですか。

「うむそうか、妹では仕方ないな」

 すい、と身を引いて、女ホブゴブリンに道を譲るサンダース。

 ……。

「「信じちゃったー!?」」
「しまった、《グリブネス》!!巧言の咒だ!!」

『ハ!“アローナ急行”侮るなかれ、と竜魔王様にお伝えさせてもらうぞ!!』
 サンダースの横を、身を低く素早くすり抜ける女ホブゴブリン。逃げる気ですか?!

「う、うむ?!俺に妹などいないぞ?!」

 あまりの虚言にうっかり乗ってしまったサンダースですが、これは呪文のせいですのであしからず。

「きゃらの!サンダースのあんちゃんをたぶらかすなこのビッチめーっ!」

 揚揚と逃げ出そうとした女の前に立ちはだかったのは、《ブランブルズ》でいつもの3倍もとげとげにした棍棒を振り上げた、顔を真っ赤にしたクロエと、いつものように腕を四本にした、その筋肉に極限までの矯めをつくった黒い爪爪爪爪噛む掻き毟る竜巻……コンボイでした。

『……ひ!』

* * *

 勝敗は、一瞬で。しかし、幹部と思しき女……完全に殺してしまっては、名前も聞けないわけですが。彼女がアルワイだったのでしょうか。

「妹キャラはひとりでよーし!」
「妹キャラだったのかクロエー!?」
「変な語尾と変な感嘆詞で萌えキャラとしての要素はばっちり!ばっちゃが言ってた!貧乳は希少価値って!」
「むしろサンダースが妹属性もちという事実のほうが重・大・事・件!」
 阿呆ー。

 カラスの突っ込みは的確ですね、的確ですね。そういえばこの間、『そろそろ使い魔の方が俺より賢くなりそうなんだよなー』とか零してましたっけ。本当かどうかは知りませんけれど。

 そんな愚かなやり取りの横で、ちょっと遠い目をするダスクブレード。憧れと言うか慈しみと言うか、そんな優しげな色がその瞳に……って、

「うむ……、妹、か。……悪くない」

 ええー、否定しないんですかサンダース。

* * *

「ビキニアーマー、採ったどー!!!」

 アルワイ(仮)の装備していた、ミスラルのブレストプレート。肩から左胸の上にかけて、サッシュの切れ端でしょうか、赤い手の紋章を染め抜いた細長い布が貼り付けてあった、の、ですが。

「こんなハンパなことするならこう、左右から寄せる手の形のブラを作ってだなあ」
 
 胸の前で乳房を寄せるような仕草に手をわきわきさせるジョン、

「……聖印?赤い手の?」

 真顔で突っ込むバッシュ。

「きゃらの!それだ、バッシュのあんちゃん!アルウェン、このビキニアーマー、手ブラの形に打ち直すから装備してYO!でもっておっぱいグィッて突き出しながら『聖印です!』って呪文かけたらいいと思うよ!!」

「いやいや、アルウェンの胸そんなに大きくないし」

 ジョン?ジョン=ディー?

「大丈夫だよアルウェン、貧乳はステータス!希少価値!ってばっちゃが言ってた!」

「わ、私のはエルフじゃ普通の大きさですー!ていうかそんなもの着けませんー!何を言わせるんですかーっ!!!!!」

* * *

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Comments

いつも楽しくプレイレポを拝見させていただいております。

いよいよ裕福なあの方の登場ですね。
“アローナ急行”は彼と戦ったのでしょうか。
続きがとても楽しみです。

Posted by: ユージ | May 17, 2008 05:14 AM

ほ、コメントありがとうございます。
例の裕福なあの方とは、割合友好的にお別れしました。
『赤い手を片付けてから考えようそうしよう!』的に。

Posted by: 飛竜/いしやま | May 18, 2008 03:31 AM

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