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【D&D】『赤い手は滅びのしるし』10・9日目 魔女の森~道路封鎖

* * *
「ああもう。とりあえず寝ようぜ」
「3000gpのチャージが都合5回でー」
「計算すると侘びしくなるからやめようや」

 2回目のスタージを撃退したものの、流石に全員ピリピリしてきています。簡単な道のりではないと分かっていたつもりでしたが、分かっていた『つもり』と実際にその脅威を『体験する』のとはずいぶん違うようです。

「とにかく……あれ?」

 バッシュが手を止めました。眉をしかめて、森の奥を見据え、『敵襲』のハンドサインを焚き火の方に振って見せました。

 全員、またかとばかりに抜刀し身構えれば、ばきばきと下生えを踏みしだいて駆けてくる大型生物の足音。

「ダイジェスター!!!」

 はい、今晩2体目のダイジェスターでした。

* * *
「いやはや」
「何が癪って、こいつら絶対お宝持ってないってことだよな」
「いや全く」

「しっ」

 サンダースが皆を制しました。全員、無言で抜刀し呪文を準備して、

「ダイジェスターだ!!!」
「またかよ!!!」

 はい、どうやらダイジェスターの巣のそばに野営をしてしまったようです。

* * *
「これでもう朝までゆっくり」

「ねえねえ」

 クロエが指差す先には。

 大型の蜘蛛と、蜘蛛のような特徴の二足歩行生物。

「モンストラス・スパイダーとエターキャップだな」

 全員、かなり えた目で毛布を跳ね除け抜刀し、

「……いいだろう。存分にやってやる、やってやるとも」
「こりゃもうあれだな、きょうの昼前には森を抜けられる計算だから全力で当っちゃっていいな」
「森出たところでもう一回キャンプしようぜ、ゆっくりと」
「だーよーねー」

 ゆらり、と立ち上がる様は、さながら幽鬼の如く。
 そしてその後の戦いは鬼神の如し、でした。

 この日記を読むかもしれないエルフとエルフの友へ。人間の睡眠時間を邪魔しちゃダメですよ、という教訓として、この晩遭遇した魔獣をもういちど書き残しておきます。

 夜半前。
・ダイジェスター、スタージの群れ。
 夜半過ぎ。
・スタージの群れ、ダイジェスター、もういちどダイジェスター、エターキャップと大蜘蛛。

* * *
「抜けたーっ!!!!!」

 9日目、朝。黒沼の南、魔女の森の北東、レストの細道が望める高台に、私たちは立っていました。

「予定通り、3日で抜けたぞ」
「バッシュえらい!まるっと迷わないでまっすぐ来れた!すごいすごい!」

 さて、ここまで来た目的はといえば。

「うむ、うっかり通り過ぎてないといいのだが」

 北への道をふさぐホブゴブリン軍団の封鎖部隊、とかいうのを見つけて排除する予定なのですが、森をまっすぐ抜けることでうっかり北側に回りこんでしまった、は十分ありえる話なのでした。

「とりあえず北!でもってこの地図の『サールヴィス』を見に行こうよ!!」
「連中の地図のあれか」
「地図に書いてる以上、戦略的になにか意味のある場所に違いない。うむ、我らの任務は偵察だったな」
「ドレリンの500gpのことですか?」
「……そういうの、お人よしっていうんじゃないか」
「ちちち。この偵察行で価値ある情報をブリンドルの殿様に伝えれば、それだけで某かの報奨がでるかもしれないぜ」

「あー、そういう考え方もありかー。ジョンあたまいいね!」
「だろう?」
 嗚呼ー、とカラスが突っ込みました。そういうのを、"今植えた葡萄のために籠を買う"、と言うのですよ。

* * *
「あれか」
「あれだな」

 街道をふさぐ急ごしらえの丸太の砦。差し渡し100フィートはありましょうか。砦と言うよりは門つきの柵、と言った方が正しいかもしれません。真ん中は、高さ12~3フィートほどの低い塔のようなつくりで、そこから森まで左右に10フィート高の丸太が隙間なく立てられているのでした。

「屋上にホブゴブリン2匹、塀の向こうにオーガが左右に1匹ずつ」
「うむ、交代要員が建物の中にいるだろう」

「じゃ、屋上から強襲すっか」

# # #
 実に退屈な場所だった。この任地をあてがわれて数日は、行き来する人間を血祭りに挙げて楽しむことも出来たが、ここのところこの街道を往来するものはいない。こんなことなら、南の戦線にしがみついているのだった、と彼は思った。

 赤い手の軍団は素晴しい。思う様殺して、奪い、しかもそれがカルカー・ズールの栄光への階への一段一段なのだから。

 ここまで考えて、飽きた。

 大きくあくびをする。相棒は、当の昔に居眠りをはじめている。この砦柵の内側にいれば、敵襲があっても余裕で対応できるのだから、見張りなど必要ないのだ。相棒の方が、頭がいいのかもしれない。

『?』

 カラスが一羽、森から飛んできて、相棒と彼との間に降り立った。
 カラスがホブゴブリンのそばに来るなど珍しい、とまばたきした瞬間、

「《トランスポジション》」

 カラスは人間の戦士になっていた。既に抜刀している。さっと周囲に視線を走らせ状況を確認すると、青いマントを翻し、見る間にこちらへと距離を詰めて、くる。剣を振り上げて。

『え?』

 うろたえつつ、剣を取り、柵を背にしようとしたとき、

「《ディメンジョン・ホップ》」

 人間の戦士がもう一人現れた。

「うむ」

 ひとつ肯くと、いまだ居眠りを続ける相棒の方へ走りこむ新たな敵。警告するよりも我が身大事と構えた盾が、青マントの斬撃を辛うじて防ぐが、あまりの打撃の重さに腕がちぎれそうだ。

『て、敵襲!?』

 叫ぼうとしたとき、頭上から影が落ちた。強烈な獣臭。振り返ると、そこには柵を登ってきたらしい巨大な猿と、その背に跨る小柄な人間の女。

「コンボイ、あたーっく!!!」

 猿は、無言で彼を殴りつけた。盾も間に合わず、したたかに床へと叩きつけられる。鼻の奥で、鉄の味がした。

 横倒しの視界の中に、カラスがもう一羽飛んできた。着地するやいなや、カラスはエルフの女に姿を変えた。膝を立て、こちらに向かい弓を構え、

 ……彼がその先を見ることはなかった。

# # #
「アルウェンはホント死に掛けの目玉ぶち抜くのが上手!」
「やな褒め方ですねっ」

「オーガ少々ホブゴブそこそこ、と」
「うわ、やっぱりこいつらも《軽傷治癒》持ってやがる」
「死体はとりでの外にー!コンボイ、スロー!!」
 応、とコンボイが吼え、砦柵の外へと死体を投げ捨てます。

「きれいになった!」
「うむ、血痕はこの際見ないことにしよう」
「これでなにより、今日は屋根の下で眠れるんだぜ!!!」

 ばんざーいばんざーいと手を挙げて喜ぶジョンとカラスとバッシュ。砦柵中央の構造物は道に面した側に扉を持ち、必要に応じて馬などを通せるようにしてあるようです。もちろん、内側から太い閂がされていますので、今晩はここで一泊、ということになりそうでした。

* * *
 その晩の夜警で。

「あれは……なにかしら……」

 月を背景に飛び去る黒い影。高度はかなり高く、こちらを気にする風もありません。蝙蝠のような翼を持つヘビのように長い尾のそれは、やがて東の方へと消えていきました。あちらはたしか、レストの廃墟『黒沼』のほう。

「……まさか、竜?」

(続く)

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Comments

とある所からとんでまりました

今は遠い国にいるフクロウともうします

そちらのリプレイを拝見させていただきました

いろいろと参考になるプレイングがありプレイスキルが

あがりそうです


で、

クロエは俺の嫁でおk?w

Posted by: 故・フクロウ | January 27, 2008 11:04 PM

>故・フクロウ様
やや、コメントありがとうございます。
「クロエ可愛い」「クロエLOVE」は結構あるんですけど、
今のところ、クロエをヨメにくれと言う申し出はないので、ここは早いもの勝ちじゃないでしょうか。

本人の希望はさておき。

Posted by: 飛竜/いしやま | January 28, 2008 02:47 AM

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