« 【迷キン】絶対主義魔法合衆国興亡紀1 | Main | 【迷キン】絶対主義魔法合衆国興亡紀3 »

【迷キン】絶対主義魔法合衆国興亡紀2

* * *
 合衆国人民は種族・性別・門地・出身・信仰・外見その他の理由によって差別されないが、州法がこれらを区別することを妨げない。人類の敵は、この条文に値しない。
   ―――絶対主義魔法合衆国憲法修正第1条

* * *
「飽きた」
 大統領が、外交のために催された食事会の最中にそう言った。

「飽きたので身体を動かすことにする!ピンポン!剣を持て!」
「ははっ」

 王宮の真ん中で突然はじまる剣戟に、右往左往する来賓と参加者。剣風の中心は“泣く子も黙る”チューバ大統領と“死人に口なしの”騎士ピンポンだ。

「ふたりともホント脳筋なんだから」
 溜息をつく神官ヤプーに、まあまあと茹でたてのポテトを差し出す大臣ヨミ。
「閣下は自分にできないことを無理になさろうとはしません。それはとてもすごいことです」
「でも閣下、この間『ああ、【暗君】とろうかなー』って言ってましたよ」
 ニンジャの水晶ドクロが口を挿む。
「……それは全力で回避したいですね」
「【暗君】がどんなスキルか分かってないかもしれませんよ」
「ありうる」

「ああら皆様おそろいで」
「これはこれは『帝政ダンジョニア自治領』の」
「女王メイクイーンですわ。お久しぶりですわ」
「女王陛下に置かれては、本日も素晴しい皮模様と若芽ぐあい」
「……どうみてもイモですが」
「しーっ、ものいう野菜の一族なんだから喋るのはアタリマエでしょ!」

「メイクイーン、イモが茹で上がっております。マヨディップでいかがですか?」
「ああっ」
 女王が切なげに身をよじらせた。
「まずかったかな」
「……でも他に出せるものないし」
「イモにイモ食わすのは不味いでしょー、常識で考えて」

「マヨネーズ……その官能的なパッケージを見るにつけ、あの方のことが思い出されて切なくなりますの」
「ほう女王陛下、恋わずらいですか」
「お相手の名前をお聞きしても?」
「正統マヨネーズ王国の国王、マヨネーズキング・ピュアセレクトさまですわ」
「イモの夫がマヨですか。そりゃおふたりのお子さんが楽しみですなー」

「ところが最近、マヨ王国に危機が迫っているとか。私、マヨ王国の苦難を聞き及ぶにつれ、いても立ってもいられなくなりまして陳情にうかがった次第ですの」
「……お聞きしましょう」
「マヨ王国のそばに『神聖ニートランド』という小国がありますの。そこが最近、マヨ王国に小競り合いを仕掛けてくるのだとか。なんとか事を穏便に収めてはいただけないでしょうか」
「【人間の屑】ばっかりみたいな国名だなあ」

「お伺いを立ててみましょう。大統領閣下ー」

「話は聞いたぞ!戦争だな!ニートランドとやらを滅ぼせばいいのだな!」
「いやまだそうと決まったわけでは」
「閣下、順番が違います。まず無理難題を持ちかける→相手が困って宣戦布告する→機先を制して物量で勝利。これが合衆国の外交スタンスです」

「よくわからんので大臣の言うとおりにやることにする!私はバカが嫌いだ!勉強も嫌いだ!我が宮廷は知恵者揃いだ!だからお前たちの決めたことは正しい!正しいことを私の決定事項にすれば、すなわち私は間違わない!だから大臣の言うとおりにしよう!」
「ははぁ、もったいないお言葉」
「ピンポン!エアホース・ワンを準備せよ!どっちにしてもニートランドには行かねばなるまいからな!」
「直ちに騎士団を編成します」

「ところで女王、陳情においでになったからにはもちろんお土産があるのですよね?」
「ええ、思いやり予算を3MGほど用意させていただきました」
「安保万歳ー」
「閣下、戦費調達できました」
「よし、さっそく戦争だ!」

* * *
「騎士団……これが?」
「は、陸軍は古来の昔から『市民権欲しーい』移民の報国にもっとも適した場所であります」
「小鬼とエルフばかりではないか」
「閣下、ネイティブです」
「おお、そうであった。して宮廷での申出より少々少ないようだが」
「道中、獣の声に怯えて少しばかり脱走兵が出まして」
「臆病な小鬼じゃしょうがないな」
「閣下、ネイティブですネイティブ」
「おお、そうであったそうであった」

* * *
(続く)

|

« 【迷キン】絶対主義魔法合衆国興亡紀1 | Main | 【迷キン】絶対主義魔法合衆国興亡紀3 »

Comments

The comments to this entry are closed.