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【迷キン】絶対主義魔法合衆国興亡紀5

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 立法権、司法権、行政権の3権は、大統領に帰属する。大統領万歳。
   ―――絶対主義魔法合衆国憲法第1条

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 途中の通路にいた難民は、ヤプーの魅力的説得によって、ニートランド侵攻が完了するまで難民キャンプで我慢してもらえることになった。

「つっても、『娯楽室』使っていいよって言っただけですけどね」
「みんなすごく喜んでましたよー」
「あれらが国民になるのかー?すこし考えた方がよくはないかー?」

* * *

 五つ目の部屋は、かろうじて遊園地の体裁を保っていた。

「回転木馬に……大ブランコに……おお、あれは」
「デカ!なんだこりゃあ」
「これは!もしや『かんらんしゃ』ではあるまいか」

「あたーりー」
 やる気なく座ってた係員が手を振った。

「昔はこの一帯が大遊園地だったんだけどね。迷宮嵐に飲まれてこのざまさぁ」

 遊園地だけで成り立っていた小さな王国が、迷宮嵐にあってその生産部分の核たる遊園地を切り離され……ほそぼそと営業する余熱が周囲にニートを呼んだものか。ニートランドの建国の秘密はこの辺にありそうであった。

「まぶっちゃけ、観覧車はふたりで乗るものだから。乗らないなら余所に行ってよ」

「主人。この『かんらんしゃ』はいかなる魔力を?」
「ふふふ良くぞ聞いてくれました。観覧車とは、はるか災厄以前から使われていた、人間関係促進の魔術装置なのでござい」
「ほほう?」
 大統領が反応した。
「つまり、一緒に乗ると仲良くなる?」

「ま、そういうことですな」
「よろしい!大統領命令である!ヨミ!ピンポン!ふたりで『かんらんしゃ』に乗るのだ!」

「ええー」「なにゆえ私がこやつめと」

「うるさい、空気読め。お前らギスギスしすぎ、今すぐ『かんらんしゃ』に乗って仲良くなって参れ!」
 しぶしぶ観覧車に乗り込むふたり。
「あとは……ついでだから水晶ドクロもヤプーと乗ってきなさい」
「はーい」「……。」

* * *
「閣下はなぜこのような……。」
「……お主の敵意の意味が分からん……。」
「それはこちらの台詞ぞ……。」

 ヨミとピンポンはその後、一言も言葉を交わさなかったという。視線も互いあさってを向き、といって窓の外は薄暗い迷宮の壁が見えるばかり。

「ううむ、一つ目のゴンドラはしっとりと静かでいい雰囲気だな!」
 大統領閣下にこそ空気を読む才覚が必要かもしれなかった。
 そして結構話がはずんているらしい、水晶ドクロもヤプーが乗った2つ目のゴンドラ。

「……あれ? 宮廷 ホワイトハウス は女の子ばっかりなのに、どうして俺は彼女らを女の子2人でゴンドラに詰めてるのか」
 唐突にそこんところに気がつくチューバ大統領。
「職権乱用して不適切なことあってもよくね?」
 さらに少ない才覚で考え続けた結果、宮廷の人間関係の悪さが原因という回答を得る大統領。

「つまり、お前が悪い!まったくけしからん!」←ピンポンへの敵意:侮蔑が1上昇
「ええー、そんなあ」

 観覧車の魔力を持ってしても人間関係の改善しない合衆国宮廷であった。

* * *
(続く)

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