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【迷キン】躍動!超☆魔神学園!

* * *
 次の部屋は、神殿のような広間に、祭壇のような石舞台。そのまんなかに、曰くありげな古めかしい箱が安置されていました。

――あけてぇ。はやくあけてぇ。

「いま、声がしませんでしたか?」
「したな」
「したね」
「どどどどうしましょう」

「そりゃもう」

 オーボエさまの宣言により、休憩することにしました。全員石舞台の宝箱をチラ見しますが、あからさまに興味を示せば『じゃあお前開ければ?』となること必定!
 ぜーったい罠があると思うので、とりあえず一休みしてから、くじ引きでもすればいいんじゃないかな、と
 生徒会全員が思ったのは間違いありません。以心伝心ってステキデスネ。

――はやくあけなさいよぉ!無視しないでよぅ!

* * *
「はーやれやれぇ」
 宝箱は、【箱入り娘】でした。

「このまま開けてくれないかと思ったわぁ」
 かなりフレンドリーです。

「娘、なぜここにいた?」
 クリップ姉さんが質します。美人といえども下半身が宝箱に癒着した異形も異形、【箱入り娘】は、ミミックの亜種とも歪んだ父娘愛の成れの果てともデザイナーの地口とも言われるれっきとしたモンスターなのです。多少の警戒は必要です。はい。

「よくぞ聞いてくれましたぁ。私、宝物の番人だったのでぇす」
「なんと」

「宝物だって?!いったいなにかな」
「なんでしょう。宝剣でしょうか王冠でしょうか」
「魔法の杖とか宝石とかかも」
「どきどきしますね」
 みんなー、警戒心はどこにー?

「ごそごそ……じゃあん。コレです!すごいでしょう」
 【箱入り娘】が、自分の箱からなにかを……なにかを取り出しました。そして、なにか……そう、透明ななにかを捧げ持っています。
 でも、見えません。生徒会のみんなも、あっけに取られています。

「ま、まさか」
「もしや……それは伝説の【バカには見えない鎧】?!」
「あはー。お客さんものしりだぁ。ご名答ぅ、これはかのスパルタ王が愛用していた逸品、【バカには見えない鎧】なんですよー」

「うわあ、オーボエさま。わたし全然見えません」
「おまえは仕方ないな」

「……すばらしい品だが、僕には使いこなせないな」
 オレンジくんが早々に逃げを打ちました。で、ですよねー。
「鎧なら、神官たる私にも必要ないですね」
 クリップ姉さんがスク水の胸に手を置いて、皆に聞こえる独り言を言います。
「いや、しかし、さすがにこのデザインは……」
 オーボエさまが言葉を選んでいます。見えないなら見えない、って認めちゃったほうが楽なのに。

「………素晴しいっ!!!!」
 いままで沈黙していたダチュラ姉さんが、突然大声で叫びました。
「なんと素晴しい鎧だ!私はこんな鎧をはじめて見た!」
「「「え、えええー」」」
「会長、もしよろしければこの鎧、私めに賜りたく!!」

 ダチュラは才覚が高い
 →鎧が見える
  →本人にとっては裸ではない
   →見えない宣言はスコーンしかしていない
    →このまま言わなければわかりっこない
     →見放題

「うむ、よかろう」
  「素晴しい!すばらしいご決断です会長!」
  「おれ学園についてきてよかった!」
  「さ、さあ!ダチュラさま!あちらにテントを用意しました、
   お召し替えを!!!」
  「ばんざーい!超☆魔神学園ばんざーい!」

「一気に人心を掌握しましたね」
「許せダチュラ、ちょっと面白いかもと黙って鎧を下賜したこの僕を!」
 生徒のみんなと同様、会長の鼻の下がものすごーく伸びてます。……ちぇっ。

 数分後。

「はぁん、ステキー!!!」
 ダチュラ姉さんがテントから飛び出してきました。全裸で。

「なんて素晴しい鎧なの!見て!ホラ見て!この曲線!この輝き!この軽さ!」

 ダチュラ姉さんはそのままキャンプの真ん中で踊りだしました。全裸で。

「らららー、伝説の鎧!私のためにあるようなこのフィット感!最っ高!!」

 踊りは止まりません。男性陣の鼻血も止まりません。……はー、ダチュラ姉さんやっぱりスタイルいいですねえ。全裸だけに。

「ちょっとちょっと、【箱入り娘】さん?あれはどういうことですか?」
 クリップ姉さんが【箱入り娘】に聞きました。男性陣は手拍子をはじめています。激しく踊るダチュラ姉さんの肌に玉のような汗が浮き始めました。全裸で。

「あはー、あれが伝説の鎧の試練なんですよぅ。トラップ発動、【赤い靴】?みたいな?」

「【赤い靴】の罠は解除不可能です」
 オレンジくん、解説ありがとう。
「それではダチュラが踊りつかれて死んでしまう!」
 オーボエさまが鼻にティッシュをつめながら、こちらの相談の輪に加わりました。ダチュラ姉さんのダンスと観客の興奮はますますヒートアップしていきます。全裸ですもんねえ。

「止むを得ません、キャンプごとに私が治療を施しましょう」
 クリップ姉さんが溜息混じりに言いました。
「それしかないですね」
「クォーターごとに治療しますが、長引けばやっぱりダチュラの命は危ないですよ」
「大丈夫!『支配者』のいる部屋はおそらく次の間だ!!」

 ああ、それならなんとか。よかったですね!ダチュラ姉さん。全裸だけど。

 そこで、私たちはさっそく次の間を目指して出発しました。

* * *
――その先の地形は、大変な【難所】でした。
「うわあ、千尋の谷」
「下見るなー、落ちるぞー」
「ほほほほ、このままトロトロ行軍してたら私踊りつかれて死んじゃうわー!!」
「踊るなダチュラ、狭い!狭い!」
  「ダチュラ様をお助けするんだ!」
  「全員走れ!走れ!」

――幸運にも、【難所】の通過には、それほどの時間はかからなかったのですけれど。

「ああー、危なかったぁ」
「【箱入り娘】よ、これはちょっとないんじゃないか」
「試練ですよぉ、試練。それに、あなた方が探している迷子たちはこの先の王様のところに連れて行かれているはずよぉ」

「な、なに?!王だって?!」

「はぁい。その鎧のかつての所有者。類い稀なる筋肉を得て鎧がいらなくなった戦士の中の戦士。その名も高き“300”、レオニダス王よぉん」

「「「「な、なんだってー?!?!?!」」」」

* * *
そのころ。

「ダンス!鎧を着ていても美しい私のこのダンスを見てっっ!!」
  「ダ・チュ・ラ!ダ・チュ・ラ!
   D・A・C・H・U・R・A・H、ダチュラ!!!!」
  「ダチュラさーん、一生ついていきますーー!!」
  「愛してるー!」

……やっぱり踊っていたという。勿論全裸で。

* * *

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